○検定合格率が悪くなっており、みきわめを実施する指導員においては、判定を公正に行うこと。今回、指導統一の中に判定基準を設定したので、これに準じて実施するようにとの指示であった。
個人担当制においては、少なからず教習生に対する思い入れが生まれ、習得度の判定などがやや甘くなってしまいがちである。これを防ぐために、みきわめは担当指導員以外の指導員が実施するのである。
私が、みきわめを実施する場合は、あらかじめ担当指導員に教習の履修状況を聴取する。そして、この際、担当指導員から『もし出来なかったら不良にしてください』と言われることが多い。意味や解釈は人それぞれ違うであろうが、私には『私たちは個人的な感情で教習をしておらず、当然習得度が悪ければ延長も仕方がないので、どうぞ遠慮することなくみきわめの良否を判定してください』と聞こえる。みきわめ指導員に気を使っての一言であるとは思う。
しかし、たとえどのような意図であれ、このようなことをわざわざ言う必要があるのであろうか。そもそも出来なければ延長するのは当然のことであり、それが最初に述べた『判定を公正に行う』ということである。
私自身の気持ちを言えば、頑張ってきた教習生や一生懸命指導した指導員を思うとみきわめは極力『良』にしてあげたい。しかし、教習生の技量不足が明らかな場合、心苦しいものの前述の気持ちに打ち克って、判定を『不良』にするのは当然である。このような覚悟をもってみきわめを実施しているのに、担当指導員から前述のような言葉を聞くのは甚だ遺憾である。そして、それを平気で言えるのは、安易な気持ちで指導してきた証左ではないか。
『Sが少し苦手ですが、だいぶ向上してきたと思います。お願いします。』で良いのではないか。こちらの方がはるかに気持ちがいい。
技量不足が否めない教習生に対しては、①現在の習得度、②改善点等について、しっかり説明をした上で納得してもらい教習時間を延長すべきである。みきわめを何度も繰り返すことを避け、極力、担当指導員自身が延長教習を実施すべきである。安易に延長すると言う意味ではない。指導員は、なぜ規定の時間で習得させることが出来なかったのかをよく考え反省し、指導力の向上に努めなければならない。
個人担当制における『責任感』とは、言わばこのような信念である。これを強くもって教習生と向き合えるかが鍵であり、指導員としてもっとも重要な信念と言っても過言ではない。当社の行動指針にあるように、真に親身になり、誠意をもって接してもらいたいものである。